【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 車を降りてから「送ってくれてありがとうございました」と無難な言葉を伝えるしか出来なかった。

「ああ……。とりあえず、今日は早く休め」

 田神先生もそれだけ言うと車を走らせ帰って行く。


 あたしは泣きはらして真っ赤になった顔を隠しもせず自分の部屋に向かった。

 部屋の鍵を受け取るとき、寮母の上原さんは心配そうにしていたけれど何も言わないでいてくれた。

 今はその方が有難い。


 自分でもこのグチャグチャな感情をどう処理したらいいのか分からないから……。
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