【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 理解してもらえなくても良い。

 ただ、私の心がどこにあるのかちゃんと知っておいて欲しかった。



「あいつ、弱ってたの。まともに血が飲めなくなってるって言って……私の血なら多分大丈夫だって……。別に死んで欲しいわけじゃなかったし、ぶん殴りたくても弱った状態の岸を殴るなんて出来なかったし」

 そこまで話して「ああ……」と納得の声を上げたのは愛良だ。

「お姉ちゃん、弱ってる人に弱いもんね……」

 長年一緒にいて私の性格を分かり切っている愛良だからこその納得。

 そうして少しでも理解してもらえたから、私はそれに後押ししてもらって続きを話す。


「それで血を吸わせて……それでその、なんて言うか……熱がね……」

 そこの部分は恥ずかしくてハッキリ言えなかったんだけれど、三人は私から少し視線をそらしながら「あー……うん」と理解を示す。


 嘉輪と瑠希ちゃんは吸血鬼だから分かるだろうけれど、愛良も理解するってことは……。


 愛良、吸われたことあるんだな。

 そしてそのことを誰も何も言わないところを見ると相手は零士かな?


 何にしてもいつの間にって気分だ。


「えーっと、とりあえず血を吸われたときに感じるもののことは分かってるから、進めて」

 嘉輪が言葉を選びながら先をうながす。

 詳しく言わずに済んで良かった。
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