【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 流石に恥ずかしいし。


「えっと、それでその熱を収めるためにキスされたんだけど……なんて言うか、甘くて……」

『……』

 三人は黙り込む。
 だから私はそのまま話すしかない。


「その、だからつまり……嫌じゃなかったの……」

「聖良?」

 驚きの声で私の名を呟く嘉輪。

 そのままこの気持ちを否定されたくなくて、私はまくし立てた。


「岸は、誰よりも私を求めてくれて。そしてそれは、私がずっと欲しかったもので……」

「聖良先輩?」

 瑠希ちゃんの呼び掛けも無視して続ける。


「あとから田神先生がきてくれたけど、そのとき田神先生を見て思ったのっ……足りないって。田神先生が私を求めてくれてる程度の思いじゃ足りないってっ」

 途中から感情が昂って涙がこみあげてくる。

 それでも、最後まで言い切った。


「お姉ちゃん?」

 三人の反応が怖くて視線を下に向けていたけれど、愛良の呼び掛けでそろそろと顔を上げる。

 三人とも驚いた顔をしていたけれど、その目はそろって心配そうなものだった。


 そして、どう言葉を掛けたらいいか迷っている様子でもある。


 それでも確かめるように、ゆっくりと嘉輪が言葉を紡いだ。

「つまり……聖良は岸のことが好きになっちゃったのね?」

「っ!」

 言葉にされて、更に実感する。


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