【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 好きなんて言葉じゃ表しきれない。

 強く求められて、それを嬉しいと感じて、だから私も求めてしまう。

 その感情は一言では表しきれない。


 でも、言葉にするならやっぱりそれしかないんだろう。

「……うん、好き。……私、岸のことを好きになってしまったみたい」

 自分でも口にして、涙があふれてくる。


 岸は敵だとか、田神先生に悪いとか、色んなものが邪魔をしてちゃんとは認められなかった気持ち。

 それを言葉にしたことで……認めたことでさらに感情があふれてきた。


 好き。

 会いたい。

 どうしてあれほどまでに私を求めてくれるのか知りたい。

 岸のことをもっと知りたい。


 でもきっと、この私の思いはみんなには認めてもらえない。

 それが分かっているから、尚更辛かった。


「分かってるんだよ? 岸は愛良を狙ってるやつらに協力してる、いわば敵みたいなものだって。そんな奴好きになったって、誰からも認めてもらえないって……」

 涙声で話し出す。

 三人が言いたくても言えないだろうことを私の方から口にする。

 言われなくても分かっているから、と。


「きっと、田神先生を好きになれれば何の問題もなかった……。でも、もう……」

 この感情を知ってしまったから。
 気づいてしまったから……。


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