【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「でも、聖良先輩の思いは伝わりました。確かにみんなから祝福されるようなことじゃないと思います。でも、それでも好きって気持ちは消せないんですよね?」

「うん、無理」

 理解を示そうとしてくれる瑠希ちゃんに、私は笑って答えた。


 すると瑠希ちゃんは困った様に笑う。

「それじゃあ、仕方ないですよね」

「うん……ありがとう」

 認めるとまではいかないかも知れないけれど、三人に受け入れてもらえて安堵する。

 少しだけ心が軽くなった。


「……あ、それとね」

 私の涙も落ち着いてきたころ、気になっていることを聞こうと嘉輪を見る。


「嘉輪に聞きたい事があったの」

「ん? 何?」

「唯一って、何かな?」

『っ⁉』

 息を呑んだのは嘉輪と瑠希ちゃん。


 そこまで驚かれるとは思わなかったけれど、やっぱり吸血鬼特有の何かがあるんだなって確信する。

「岸が私のことを自分の唯一だって言ったの。吸血鬼にとっては何かもっと特別な意味があるの?」

「岸が? 本当にそう言ったの……?」

 驚愕とも言える表情。
 その瞳が戸惑いに揺れる。


「唯一って……珍しい。本当に見つけられる人っているんですね……」

 瑠希ちゃんは嘉輪ほどには動揺していないみたいだった。

「珍しいの?」

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