【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 固まって警戒している私達に、チャラい男の方が話しかけてきた。

「おはよ。聖良先輩と愛良ちゃんだよね? 初めまして、俺は城山学園高等部一年の赤井 (しゅん)。こっちは二年の石井(いしい) 和也(かずや)。今日の護衛は俺達だから、よろしくね」

 と最後にウインクをした。


 うわっ……ウインクなんてする人本当にいたんだ。


 驚きはしたものの、不快感はない。
 それほどに彼、赤井 俊は顔立ちが良くウインクも自然な感じがした。


「あ、城山学園の人だったんですね。そういえば昨日の赤井先輩と同じ制服ですもんね」

 自己紹介を聞いた愛良がホッと息を吐いてそう言った。
 その言葉に私も目の前の二人をもう一度ちゃんと見てみる。


 白いワイシャツに学ランのズボンだから他の学校と見分けがつきにくいけれど、よく見ればズボンの前ポケット口が赤く縁どられている。
 それは確かに昨日も一昨日も見た、赤井が着ていた制服と同じだった。

 それを見た私もひとまずホッとする。
 少なくとも、彼等が城山学園の生徒だということは間違いない様だ。


「赤井先輩? ああ、零士のことか」

 愛良の言葉に軽く訝しげな顔を見せた後、そう言ってチャラ男は納得する。

 そしてイタズラっぽく笑った。


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