【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「……つまり、普通なら“唯一”と吸血鬼の邪魔はしないけれど、聖良先輩は“花嫁”だからそう簡単にはいかないってことですか?」


「ええ……それに岸は違法行為をしているし、もし彼が学園側に戻ってきたとしても何がしかの罰を受けると思う……」

「うん」

 そんな相手だから、尚更周囲は認めてくれないだろうってことだよね。


「甘い考えで行けば、罰を受け終えたら前のように学園に通えるか……。それが無理でも敷地内に住むことは出来るかも。……でも……」


 言葉を濁す嘉輪に、私も気持ちが沈む。

 嘉輪の言う甘い考えは、多分実現しないことだから。


「多分、それは無理なんだよね?」

 言いづらそうな嘉輪の言葉を私が口にする。
 そうして先をうながした。


「……うん。田神先生や他のみんなも納得しないだろうし、赤井家や他の権力者達の思惑だって絡んでくる。そんな簡単にはいかないと思う」

「……」

 正直権力者達とかはよく分からない。
 でも、田神先生達が納得しないだろうってのは分かった。

 みんな、私を連れ去ろうとしている岸を敵認定してるだろうから……。


「とにかく、何もかもが例外状態なのよ。だからとりあえず愛良ちゃんと同じように候補の中から選んで欲しいってなっていたんだろうけれど……」

 でも、私が選んだのは候補以外の吸血鬼。
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