【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 嘉輪や正輝くんみたいに仲良くなった友達、瑠希ちゃんにも。


 そして何より愛良と会えなくなるなんて……。


 そんなの嫌に決まってる。


 でも、岸のそばにいるにはそれしか方法が見つからなくて……。


「私、どうすればいいのかな……?」

 八方ふさがりになっている気がして、いい考えが思いつかなくて、気持ちも弱くなってきている気がする。

 見つからない答えを誰かに教えて欲しくて、弱々しく聞いてみた。


 そんなの、答えなんてもらえるわけがないのに。


「……それは、聖良が決めるしかないわ」

 真剣な表情で嘉輪が真っ直ぐ私を見てくる。

「でももし逃避行することを選んでも、私は聖良の選択を否定しない。……会えなくなるのは寂しいでしょうけどね」

「嘉輪……?」

「どっちを選んでも悲しくて辛いなら、選ばなかったことでより悲しい方を選ぶのも一つの手よ?」

 寂しそうではあったけれど、そう言って嘉輪は笑った。


「あたしもそうして欲しいかな?」

 嘉輪の笑顔につられるように愛良も話し出す。

「もし会えなくなったら寂しいけれど、辛そうなお姉ちゃん見てるのも辛いだろうから」

 だからお姉ちゃんが決めてね、と選択の自由を与える。


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