【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「もう、二人がそう言ってるのにあたしだけ寂しいから行かないで下さいなんて言えないじゃないですか」

 困り笑顔を浮かべながら憤慨(ふんがい)、とでもいうようなポーズをとる瑠希ちゃん。

「あたしも否定しませんよ、聖良先輩がどっちを選んでも。聖良先輩の気持ち、知っちゃいましたから」

 そうしていたずらっぽく笑う。

 瑠希ちゃんが場の雰囲気を明るくしようとしてくれてるのが分かって、私もまだ少しぎこちないけれど笑って見せた。


「うん。……みんな、ありがとう」

 他の人達には認めてもらうどころか受け入れてすらもらえないだろう。

 それでも、近しい三人にはちゃんと知って受け入れてもらえた。


 それがとても嬉しかった。


「さ、今日は色々あって疲れちゃったでしょう? ゆっくりしましょう。……一人でいたくないなら付き合うし」

 嘉輪も暗い話はおしまい、とばかりに手をパチリと叩いて場の空気を変える。


 でも、私はもう一つ聞きたいことがあったんだと思い出す。


「あ、ごめん。もう一つだけ……」

 ちょっと申し訳ない気分で声を掛けると、ちょっとジト目で見られた。


 話したいことがあるなら早く言ってちょうだい。

 そう言われてる気がする。


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