【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「はい。……儀式についてちょっと物騒な情報を聞いたので……」


 今この会議室にいるのは私と嘉輪。
 そして愛良と零士だ。

 岸の言った隷属の儀式というのが間違いだった場合でも本当だった場合でも、他に人がいたら変に不信感を募らせてしまうだけだと主に嘉輪が判断した。

 私も大ごとにしたくはなかったので、最小限の人数で聞くことに賛成する。

 その結果の人選だ。


 そして、田神先生と話すのは気まずいだろうということで基本的に話すのは自分がすると嘉輪が言ってくれた。

 正直ありがたい。


 授業中は先生としての顔しか出さない田神先生だから、今までは気まずいと思いながら何かがあるわけじゃなかった。

 でも、こうして話をする場を(もう)けたら直接話をしないわけにはいかない。


 田神先生に申し訳ないと思っている私が、問い詰めるような真似をするのはためらわれたから。

 だから本当にありがたかった。


「物騒?」

 眉を寄せて聞き返してくる田神先生に、嘉輪は説明を続ける。

「はい、血婚の儀式は……本来隷属の儀式だって話です」

「っ⁉ なぜそれを⁉」

 少し腰を浮かせて驚く田神先生の反応に、岸の言ったことが本当だったことを知る。


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