【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 どれほどの強制力があるか分からないけれど、従わせるってくらいだから基本的に命令に背くってことが出来なかったんだと思うし。



 そして田神先生がどうしてその事を言わなかったのか。

 ……言う必要がないって判断したのかな?


 血婚の儀式は隷属とは全く違うものになっているから。

 逆に言ってしまうと、変に怖がらせてしまうとでも思ったのかな?


 吸血鬼とハンターのしがらみ。
 確かに根が深そう。


 そんな感想を抱きながら、愛良と零士のことは問題なさそうだなと安心する。


「……それにしても、そのことをどうやって知ったんだ? 学園じゃあ吸血鬼とハンター協会、双方にとっての黒歴史だし、知る必要のないことだから教えていないはずだが?」

「っ⁉」

 田神先生の言葉に思わず息を呑む。

 そして他の三人も私を見てしまう。

 それだけで田神先生は察してしまった。

「……岸か……」

 苦々しい表情。
 憎々しいとも言えるかもしれない。

 私は否定も肯定も出来ず黙ってしまう。


「……あいつが協力している月原家は古い家だからな。そちらから知ったんだろう」

 そう言った田神先生は、私達に教えるというよりは自分が納得できるように口にしてる感じだった。


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