【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「それで? どう言われたか知らないが、あいつの言葉を鵜呑(うの)みにして俺を疑ったという事か?」

 自嘲の笑み。

 ハッとした私はすぐに首を振って否定した。

「っ! 違います、疑ってなんかいません!」

「そうです。聖良は隷属なんて言葉を聞いて愛良ちゃんが心配になっただけですよ! 先生たちがそんな酷いことはしないと思うけどって言ってましたから」

 すかさず嘉輪もフォローしてくれる。


 すると今度は田神先生がハッとしてうなだれた。

「……すまない、今は変にうがった見方しか出来ないみたいだ」

「いえ……」


 そんな見方しか出来ないのは私のせい、なのかな?

 でも、私の気持ちが変わる事がない限りそれは仕方ないことなのかもしれない。


 だから、疑われてちょっとムッとなった気持ちは呑み込んだ。

「とにかく、そういう事なら愛良ちゃん達の血婚の儀式については問題無いわよね?」

 そう言って場をまとめてくれたのは嘉輪だ。


 聞かれた愛良は私達の様子に少し心配そうな眼差しを送りながら頷く。

「うん、零士先輩との関係が対等なものなら、あたしは何の問題もないよ」

「そうだな、俺と愛良との間に上下関係は必要ない」

 零士も共に頷き、二人は視線を合わせる。


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