【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 刀でも持たせたらまさに侍!って感じだなぁ。


 そんな感想を覚えながら見ていると、視線に気付いた石井君がこっちを見て初めて口を開いた。

「そろそろ行かないと、遅刻するんじゃないか?」

 耳に心地良い低音ボイスに告げられてハッとする。

 そうだ。多少余裕があるとはいえ、ここで立ち話していたら遅刻してしまう。


「そうだね、とりあえず歩こうか?」

 笑顔で応えた私に、他の三人も同意した。




「そういえば、何で今日は俊君達になったの? 護衛は三日間ずっと浪岡君達だって聞いたと思うんだけど……」

 テクテクと四人で歩きながら、さっき聞けていなかった事を質問する。


 浪岡君達は三日間別の護衛が来るなんて言っていなかったし、昨日帰るときも普通にまた明日とか言ってたし。

 どうして突然違う人が来たのか謎だ。


「ああ、それはね」

 と答えてくれたのはやっぱり俊君。

「わざわざ学年合わせて零士と将成を向かわせたのに、それぞれ違う学年の方に付いたでしょう? だから田神先生が、学年違っても良いなら俺達でも構わないだろうって」

 まあ、確かに構わないだろうけど……。

 でもそれで何の連絡も無く変更されると驚くから!
 警戒しちゃうから!


 と少し田神先生を非難する。
 けれど、俊君の次の言葉に少し考えを改めた。


< 49 / 741 >

この作品をシェア

pagetop