【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「岸がお前を“唯一”だなんだと言うのもお前が“花嫁”だからなんだろ? “花嫁”じゃなくなれば岸がお前を欲しがる理由なんてなくなるよ」

「……?」


 ……え?

 何か、話がおかしい?


「お前、あいつのこと好きだとか言ってるらしいけど……。“花嫁”じゃなくなればあいつも手のひらを返すに決まってる。外見だけ可愛くても性格が可愛くないんだ。俺だったら付き合いたいとも思わねぇよ」

 そしてまた、私を嘲笑う。


 でもちょっと待って?

 この人、“唯一”のこと勘違いしてない?


 私が岸の“唯一”だっていうのと、私が“花嫁”と同等の存在だっていうのは全く別物なんだけど?


 怖くて、まだ震えは治まることはないけれど、私はすがるように頭を働かせた。


 岸が、私が“花嫁”じゃなくなれば“唯一”だと言わなくなる? 欲しいと思わなくなる?

 そんなわけがない。

 あれほどの執着が、そんなことでなくなるなんて思えるわけがなかった。


 それに嘉輪の話では、“唯一”は一人の吸血鬼に対して一人だけ。

 被ってしまうことはないし、もちろん“花嫁”である必要はない。


 ってことは、やっぱりこの人達は勘違いしてる⁉


 彼らはハンターであるH生で、吸血鬼じゃない。

 だから“唯一”に関してはよく知らないのかも知れない。


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