【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 でも、だからと言って私の思いを全面肯定してくれているわけでもないだろう。


 ついでにその辺りのことも聞いてみようかな?


 そんなことを思いながら私は午後の授業を受けていた。


***


 嘉輪と二人だけでいつもの会議室に向かうと、忍野君はすでに来ていた。

 私達が室内に入ると、忍野君は立ち上がって迎えてくれる。


「あ、ごめんな。急に呼び出して」

「良いから座って?……それで、話って何なの?」

 私達も椅子に座って、さっそく本題に入る。


「あー……その、な」

 歯切れの悪い忍野君にちょっとイラッとしながらも黙って待っていると、予測していたものとは少し違う言葉が出てきた。


「岸って先輩の話、色々聞いたからさ……。話しておいた方が良いのかなと思って」

「色々聞いた?」

 岸のことが話題に上がるかもしれないことは予測出来た。

 でも、色々聞いたって……誰に何を聞いたんだろう?

 岸の立場を考えると良い話とは思えないけれど……。

 ただの悪口だったら、聞きたくないな。


 そう思って少し視線を下に向けた。
 でも……。

「話すべきか迷ったんだけど……多分、知らないよりは知っておいた方が良いと思ったから……」

 知っておいた方が良い。
 忍野君がそう思うような内容だということか。

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