【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「立ち聞きするつもりじゃあなかったんだが……。ただその、会議室を使うなら忍野の話が終わってからなら丁度いいと思ってな」

「そうは言うけど、結局気になって聞いてたんでしょう?」

 言い訳をした石井君だったけれど、嘉輪にバッサリと切り捨てられて「うっ」と言葉に詰まっていた。


「ま、まあとにかく話聞いてやってくれよ」

 そして津島先輩は浪岡君と俊君を私の前に立たせて自分は隅の方へと行ってしまう。


 改めて二人と向き直って、緊張してしまう。

 せめてさっきみたいに怯えたりしない様にと気を付けた。

 二人は顔を見合わせると気まずそうな顔で話し出す。

「その……この間はすみませんでした!」
「すみませんでした!」

 俊君が先に謝り、浪岡君が続く。

「聖良先輩があの岸を選んだって聞いて、感情の整理がつけられなかったんです」

「言い訳かもしれないですけど、あの時は俺達も動揺してて……」

 確かに言い訳かもしれない。
 でも二人は謝ってくれた。

 それに……。


「ううん、いいの。二人の気持ちは理解出来るし……あれは、私の覚悟が足りなかったのが悪いから……」

「そんな! でも、そうだとしても僕達の言葉は言い過ぎだったと思うし……」
「そうです! 裏切りだなんて、聖良先輩がそんなつもりじゃないことくらい分かっていたのに……」

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