【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
お互い謝り合って、沈痛な雰囲気になってしまっていた。
「その……」
「ですから……」
『すみませんでした!』
今度は声をそろえて二人同時に頭を下げられた。
ここでまた謝らないでなんて言ったら堂々巡りになりかねない。
だから私は。
「うん……謝ってくれて、ありがとう」
そう言って謝罪を受け入れた。
「……それで、ですね」
謝罪を受け入れたことで頭を上げてくれた二人は、それでもまだ気まずそうに話し出す。
「聖良先輩が岸の“唯一”だと聞いて、俺達は本当につけ入るスキはないんだなって思ったんです」
「でも、だからと言ってすぐに納得なんて出来ませんでした」
俊君が諦めの表情をして、浪岡君は悔しそうな顔をする。
そのまま感情的に続けたのは浪岡君だ。
「だって、たとえ“唯一”じゃなくったって、僕達が聖良先輩を好きな気持ちは確かなのにっ!」
こぶしを握り、それ以上感情的にならない様に耐える浪岡君。
私はなんて言葉を掛ければいいのか分からず、結果黙って待つ以外に何も出来なかった。
「……すみません。でも、もういいんです。その辺りの心の整理は一応つけてきたので」
少しして息を吐き出した浪岡君は落ち着いた声で言う。
その後で俊君が話し始めた。