【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 誰よりも私の願いを優先してくれる大好きな親友は、早速向かってくれたらしい。


「っな⁉ 余計なことを! さっさと行くぞ!」

 男達が少し慌てた様子になり、私と岸を急かした。


 岸が、強く腕を引き私を抱きかかえ走り出す。

「ったく、ホントお前は妹のことばっかりだな」

 苦笑いを浮かべる彼に、私は少し寂し気な表情で伝えた。


「……だって、愛良は家族だもの。……絶対に私のことを必要としてくれる、家族だから……」

「聖良?」

 今回のことで分かったことがある。

 どうして私が愛良に固執(こしつ)しているのか。


 妹思いではあるんだけれど、普通の妹思いより少し逸脱(いつだつ)していたように思う。
 それでもその差は少しだったから、このまま何事もなく過ごしていたら気づかなかった。

 でも、知ってしまった。

 私が自身を求められることをどれだけ欲していたのかを。

 その自分の欲を知って、気づいた。


 私が愛良を必要以上に大事にしていたのは、家族である妹ならちゃんと必要としてくれると思っていたからだ。

 そして実際に愛良は今まで私の思いに応えてくれていた。


 必要以上に一緒にいたいがために、学校が分かれていても一緒に登下校したり。

 私が愛良を大事に思うのと同じくらい、私を大事に思ってくれている愛良。

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