【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
私も岸の邪魔にならない程度に離れつつ、でも手の届く範囲に位置する。
先に動き出したのは男の方だった。
「にらみ合っていても仕方ないからな。さっさと終わらせてもらう」
そう言って拳が岸に向かって行く。
岸はその拳を受け流し、男の懐に入ると腹に拳を入れようとして止められていた。
そこからの戦闘はよく分からない。
吸血鬼だからというのもあるんだろうけれど、早くて私の理解が追いつかない。
かろうじて互角の戦いをしているのかな?って分かる程度。
「諦めなさい。それに、本物の“花嫁”がこちら側の手に落ちればあなたはなにもせずに済むでしょう?」
押し付ければ良いのに、と勝手なことを言うシェリー。
「っ! 出来るわけないでしょう⁉ 大事な妹なのよ⁉」
叫ぶ私に、シェリーは冷たい目をしてフンと鼻を鳴らす。
「大事、ね。そいつ……岸よりも?」
「っ⁉」
「あなたを守ろうとすればするほど、岸は傷つくわよ?」
「っ……」
言い返したくても、言葉が出てこない。
だって、それは事実だから。
でも、それでも私の代わりに愛良を犠牲にするなんて選択肢はあり得ない。
だから、やっぱり私の進む道は一つなんだ。
「岸に傷ついて欲しくはないよ……」
「だったら――」
「でも、愛良を犠牲にも出来ない!」
先に動き出したのは男の方だった。
「にらみ合っていても仕方ないからな。さっさと終わらせてもらう」
そう言って拳が岸に向かって行く。
岸はその拳を受け流し、男の懐に入ると腹に拳を入れようとして止められていた。
そこからの戦闘はよく分からない。
吸血鬼だからというのもあるんだろうけれど、早くて私の理解が追いつかない。
かろうじて互角の戦いをしているのかな?って分かる程度。
「諦めなさい。それに、本物の“花嫁”がこちら側の手に落ちればあなたはなにもせずに済むでしょう?」
押し付ければ良いのに、と勝手なことを言うシェリー。
「っ! 出来るわけないでしょう⁉ 大事な妹なのよ⁉」
叫ぶ私に、シェリーは冷たい目をしてフンと鼻を鳴らす。
「大事、ね。そいつ……岸よりも?」
「っ⁉」
「あなたを守ろうとすればするほど、岸は傷つくわよ?」
「っ……」
言い返したくても、言葉が出てこない。
だって、それは事実だから。
でも、それでも私の代わりに愛良を犠牲にするなんて選択肢はあり得ない。
だから、やっぱり私の進む道は一つなんだ。
「岸に傷ついて欲しくはないよ……」
「だったら――」
「でも、愛良を犠牲にも出来ない!」