【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 永人は思いっきり渋い顔をしてから、「はあぁぁぁ……」と大きなため息をついた。


「わーったよ。でも次は止めねぇからな?」

「うっ……わ、分かった」

「あと、キスくらいはさせろ」

「あ、うん。……でも男の人もキスで落ち着けるの?」

 私のお願いを聞き届けてくれた永人にホッとしつつも、大丈夫なのかと心配にもなる。

 私の場合は優しいキスを繰り返すことで徐々に落ち着けたけれど、男の人も同じなんだろうか。


「落ち着けねぇよ。でも、それでももう少ししたいんだって言ってんだよ」

「っ!」

 熱を逃がす方法にはならないのに、それでも欲しいと言われてどうしていいのか分からなくなる。


「でも、それじゃあ永人は辛いんじゃあ……」

「いいから、キスさせろ」

「う、うん」

 熱っぽい吐息とともに求められ、許可を出してしまう。

 すると永人は動けるようになったみたいで、不満そうにしながらも唇を重ねた。

 熱がまた暴れださないようにか、そのキスは優しかった。

 唇の形を確かめるように触れて、ついばむ。

 互いのぬくもりを分け合うように、ただ触れる。

 そんなキスも、永人が本格的に辛くなる前に終わった。


 そのあと熱を落ち着かせてきた永人に言われたんだ。

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