【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 吐き出すほどではないし、飲むには飲めるけど……。


「まあ、でも拒絶する程じゃねぇな。聖良の血が入ってない状態だとマズすぎて下手すりゃ吐くから」

 と永人は言う。

「そうなんだ?」

 聞き返す私に、彼は意味深な笑みを浮かべて話し出した。


「初めてお前の血を飲んでからその甘さの虜になっちまったのかなぁ? “唯一”だからってのもあったんだろうが、他の血がマズくてマズくて……」

「え、そんなに?」

「ああ、だから今もこんなんじゃ物足りねぇ。……早く強くなっちまったお前の血に慣れて、直接吸血してぇよ」

「っ!」

 何だか、永人の視線が妖しい。

 私が欲しいと言われている様で、ドキドキと体温が上がってきてしまう。


 なんて答えようかと内心アタフタしていると、彼の手が伸びてきてその親指が私の唇を拭った。

「ふぁ⁉」

 驚いて変な声を出す私に、永人はニヤニヤと若干腹の立つ笑みを向ける。


「俺ですらそう思うんだ……聖良、お前はいつまでこのマズイ血液パックを我慢出来るんだろうなぁ?」

「っっっ⁉」

 それは暗に、我慢出来なくなって直接吸血すれば良いのに、と言っているんだろうか。

 つまり、早く俺のものになれ、と……。


 それを嫌でも読み取ってしまい、私は声も出せずに顔を赤くさせる事しか出来ない。

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