【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「ハア、ハア……いいよ。驚いたけど、あれで良かったと思うし……」

 そんな会話をして二人とも息が整うと、また変なのに絡まれないうちに家に帰ろうという事になった。


 と言っても、そのまままた同じ道を通ったらあの男が待ち伏せているかもしれない。
 だから遠回りにはなるけど別の道を通って家路についた。


 そして無事家には着いたんだけれど……。


「誰、あの人?」

 家の前に男の人が立っていた。

 さっきの男じゃない。
 あいつは私達と同年代くらいだったけれど、今いるのは明らかに成人を越えている大人だった。


 ダークブルーのスーツを着こなした長身の男性。
 さっきの男より背は高いかもしれない。

 黒の前髪はアップにしていて、ボリュームが出るように毛が流れているけれど後頭部は短く切られていてすっきりしている。
 整った顔に丸みを帯びた四角形の黒縁メガネを付けていた。


 愛良を見ると知らない、と言うように頭を横にブンブン振っている。


 男性は見た感じ、清潔そうな好感の持てる雰囲気だ。

 でも知らない男性が私達を待ち構える様に家の前にいたら、警戒するに決まってる。
 ただでさえさっき愛良が知らない男に連れ去られそうになったばかりだ。

 引き返して交番にでも行って相談してみるべきか。
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