【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
禁忌って、忌まわしくて禁じられていること……だよね?
「うん……それで、実際に聖良に会って状態を把握したいって。今週の土曜日にはこっちに来るらしいから、予定空けといてくれる?」
「う、うん。それは良いんだけど……」
《禁忌》なんて不安な言葉を口にされて平然としてはいられない。
もっと詳しく聞きたいけれど、嘉輪もそれ以上は聞いていないらしい。
嘉輪、だからこんなふうに気落ちしてたんだ。
それを理解すると自分だけが不安がってちゃダメだと思った。
不安だし気になるけれど、少なくとも自分の身に何か悪いことが起こっている様子は特にない。
それに、土曜日にはちゃんと話を聞けるんだ。
私は待っていればいい。
でも嘉輪は、その待っている間罪の意識みたいなものを感じてしまっているのかもしれない。
「大丈夫だよ嘉輪。少なくとも私に悪い事が起こっている様子はないし、《禁忌》なんて言っても大した事無いかも知れないでしょ?」
嘉輪の行動が間違っていたなんて思って欲しく無い。
少なくとも私と永人は本当に感謝している。
「うん、そうだね……。ありがとう、ちょっと元気出た」
そう言って笑う表情はまだ心からの笑顔ってわけじゃなさそうだったけれど、さっきよりは明るさを取り戻していた。