【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「……そういえば岸は毎日迎えに来てるみたいだけれど、気まずいとか思ったりしないの?」

 話もひと段落ついたからか、前から気になっていたらしいことを口にする嘉輪。

 あえて私も聞いたりしていなかったけど……というか、なんとなく予想出来るから聞かなかったのだけど……。


「気まずい? 思わねぇなぁ。周りの目なんか知るかよ、俺は聖良に早く会いてぇだけだ」

 予想通りの言葉に、喜べば良いのか呆れれば良いのか分からなくなる。

 正直呆れるけれど、私も会いたいって気持ちはあるから結局嬉しいって思いが強くなって困るんだ。


 私も結構永人に溺れちゃってる気がする。
 理性では抑えなきゃって思うのに、場所が悪いとか人目があるとか、そういう理由が無くなると一気に心が永人しか求めなくなる。

 そのうち人目があっても気にしなくなりそうでちょっと怖い。


 やっぱり、人目があるときくらいはしっかり引き締めなきゃ!

 と自分を律している隣で嘉輪が生温かい眼差しをこちらに向けていることに気づいた。


 あ、聞かなきゃよかったかも。なんて心の声が聞こえてきた気がする。


「あー……元婚約者候補の人たちとはどうなの? 石井君はクラスメイトだからあまり態度も変わってないのを見てるし、田神先生は……まあ、アレなのは分かってるんだけど」

「アレって……」
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