【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
濁した言葉に突っ込みつつ、確かに何て言っていいのかは分からないよね、と納得もする。
「他の人達は最近会ってるの? 忍野君とは一緒に血液パック飲んだって話は聞いたけど……」
この間の忍野君の話は嘉輪にも世間話程度にしていた。
最後に『“唯一”に出会いたいなぁ』とか言っていた話もしたら、嘉輪がものすごく哀れんでいたのを覚えている。
「他の人達は……まあ、津島先輩は石井君と同じく私のことを本気で好きとかってわけじゃなかったから、今でも普通に話したりしてるよ。護衛とか必要なくなったから会うことも少なくなっちゃったけど」
永人に対しては微妙だけれど、特に嫌ったりとかはしていない感じ。
「じゃあ、俊君と浪岡君は?」
「うん……あの二人は……」
話しながら、どうしても困った笑みになってしまう。
私に対しては結構普通に接してくれている。
ただ、永人に対しては……。
「血の契約をしてるから、永人が近くにいること自体を認めないって感じではないんだけど……」
少なくとも田神先生のようにあからさまな敵意は向けていないと思う。
「でも、永人がそばにいたのに私が死にかけてしまったことが不満みたいで……。ちょっと棘がある感じかな?」