【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 永人の様子に嘉輪が不思議がる。

 そこまで頭悪かったの? とでも言いそうな表情に、私は慌ててフォローを入れた。


「勉強が嫌ってわけじゃないみたいだよ? ただ、鬼塚先輩が……」

「へ? 鬼塚先輩?」

 どうしてここで鬼塚先輩の名前が出てくるのか分からないといった様子の嘉輪。

 まあ、永人と同級生って以外に共通点はないもんね……。


「ほら、三年生は期末テストが終わったら自由登校でしょう?」

 普通の高校なら三学期に入ってからだけれど、城山学園では特にH生はハンターとしての仕事を始める人も何人か出てくるらしい。

 そういう人は早めに現場になれた方がいいからって、今のうちから色々出歩くんだとか。

 そんな人達に合わせて今から自由登校ってことになっているみたい。


「ああ、そうだったわね。……それで?」

「鬼塚先輩もハンターとして仕事を始めてるみたいなんだけど、まだそこまで飛び回ってるわけじゃないから寮にいる時間の方が長くて……それで寮にいる永人に色々と構ってるみたいで……」

「……何で?」

 嘉輪の疑問も当然のものだった。
 私もはじめ知ったとき「何で⁉」って思わず叫んだもん。

「それがね、鬼塚先輩はもともと永人のことは良く思ってなかったの。永人が在学中に違反吸血をした人間の中に彼の幼馴染もいたらしくて……」

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