【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 その事実に、流石の永人も言葉に詰まる。


「なんでそんな危険な目に遭わせた⁉ 回避出来たんじゃないのか⁉」

 感情をあらわに言い募る俊君に周りも口を出せず黙り込む。


 きっと、最近ずっと思っていたことなんだろう。

 思っていて、くすぶらせて。

 でもここに来てまた私が始祖になりえるだとかとんでもないことになった。

 くすぶらせていた思いが爆発したのかもしれない。


 でも。

「待って俊君、それは私が悪いの。私が愛良を助けたいってわがまま言ったから」

「だとしても! その状況で守り切る自信がなければ何が何でも止めるべきだったんじゃないですか⁉ それをしなかったってことは、何か油断があったに決まってる!」

「それは……」


 そんな風に言われてしまったら言葉が出ない。

 確かにあのとき永人はそこまで強く私を止めようとはしなかった。

 でも、それは私のわがままを受け入れてくれただけで……。


 そんな風に考えていたんだけれど、永人はポツリと「その通りだよ」と呟いた。

「え?」

「油断は、あったさ。あの日は新月……俺の吸血鬼としての力が強くなる月のない夜の日だったからなぁ……」

 睨みつけてくる俊君に対抗するように睨み返しながらも、永人は自分の非を認める言葉を放つ。


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