【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「何が何でも守るという姿勢。それに、主従の契約をしたりと二人の絆は更に強くなってる……。引き離すことなんて出来ないんだし、もう認めるしかないんじゃないですか?……俊先輩」

 諦めを滲ませた悲しそうな笑みで、彼は俊君に語りかける。

 投げかけられた俊君はグッと強く目をつむった後、ゆっくり瞼を上げて同じく悲しそうな笑みを浮かべた。


「そう、だな……。もう、信じることしか出来ないか……」

 そうして二人は眼差しに力を込めて永人を見る。


「仕方ないから、信じてやるよ」
「あなたが聖良先輩を今度こそ守れるって」

「……だから、てめぇらに言われる筋合いはねぇっつってんだろ……」

 うんざりしたように答えた永人だったけれど、少し嬉しそうに見えたのは私の願望だったんだろうか。

 何にしても、悪い気分ではなさそうだと思った。


「ありがとう、二人とも……」

 私が選んだ相手を認めてくれて。

 永人の代わり、というわけではないけれど二人にお礼を言う。

 私は素直に嬉しいと思ったから。


「ま、聖良先輩が選んだ相手ですからね」
「しかたないでしょう?」

 そう言って笑う二人に、私はもう一度小さく「ありがとう」と呟いた。
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