【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 私が知らないところでも何かあったのかもしれない。


「聖良さんがただの吸血鬼であれば、“唯一”がいて血の契約までしている者に手を出そうなどとは思わない。だが、月原家は強い吸血鬼を生み出すことにこだわっている家だ。始祖の力……その血を手に入れようと躍起になるだろう」

「それは、つまり……」

「愛良さんにしようとしていたことを聖良さんにするだろう。愛良さんにはもう手を出せないから、尚更」

「そんな!」

 顔を青ざめさせて愛良は叫ぶ。


 月原家が愛良にしようとしていたこと?

 監禁して子供を産ませようとしているって聞いた気がするけれど……。

 他にも何かあるんだろうか?


 愛良の反応はそう思わせるには十分なものだった。


 でも、聞いて良いものか迷う。

 愛良にとっても嫌な記憶になってる気がするし……。


 そうして口を出せないうちに話は進んで行く。


「だが、当然そんなことはさせない。月原家には他の家も辟易(へきえき)しているんだ。多くの主家が集まる中好き勝手は出来ない。もちろん護衛もつける」

「……それでも、不安です」

 強くハッキリ守ると口にした田神先生だけれど、愛良は納得できない顔をした。


< 645 / 741 >

この作品をシェア

pagetop