【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 私だって姉として負けてはいられないよね?


「あ、ああ……。一応招待という形だから断っても良いんだが……そうなると今度は各家の当主が直々にこの学園に来て挨拶しに来ると思う」

「……それは、困りますね」

 想像しただけでも迷惑極まりない。


「学園関係者以外が何度も出入りすることにもなるから、護衛や警備の面で見ても一度で済ませられるパーティーの方が確実に守れると思う」

「そう、ですね……」

「何より、パーティーでちゃんと知らしめたほうが良いだろう? 聖良さんには岸という唯一無二の相手がいるということを」

「……田神先生?」


 あれ? と思う。

 今の言葉は、まるで田神先生が私と永人のことを認めているかのように聞こえた。


 聞き間違いだろうかと彼をまじまじと見る。

 すると少し悲し気な、申し訳なさそうな表情が返ってきた。


「今まですまなかった。……その、この間朔夜様との話の後で思うところがあってな……」

 そう言った田神先生は真剣な表情になって私を真っ直ぐに見る。

「聖良、少し二人だけで話したい。良いだろうか?」

 私の名前を呼び捨てにしたってことは、“先生”じゃなくて一人の男としてってことだ。

 となると少し躊躇う。


 今の田神先生なら変なことはしないと思うけれど……。

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