【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 こうなっているのは私のせいだって分かっているから、彼の言う通り苦しさは我慢した。


 この力強さは、永人が私を想ってくれている証でもあるから。


 数分くらいそうして、流石に本気で苦しくなってきたかな? と思った頃やっと腕の力が少し緩んだ。

 そしてゆっくり言葉が落ちてくる。

「……大丈夫だったのか? 何も、されてないか?」

 抱きしめられたので何もされてないってことはない。
 でも、よこしまな思いでそうされたわけじゃなかったから……。

「…………うん、大丈夫」

「なんだその間は?」

 大丈夫と答えたのに、少し長めに間が開いたことをしっかり指摘されてしまった。


「いや、本当に変なことはされてないよ?」

「変なことじゃなければされたんだな?」

 顔を覗き込まれて、少し睨むように凄まれる。


「うっ」

「言えよ」

 顔が近付いてきたと思ったら、スッと横にそれて耳たぶを甘噛みされた。


「ひゃっ!」

「ホント耳弱いよな……なぁ、何されたんだよ?」

 そのまま耳の近くで囁かれ恥ずかしい。
 吐息が耳にかかってなんか変な感じになる。


「ちょっ、待って」

「待たねぇよ。このまま話せ」

 永人の行為で口を開けば変な声が出そうだっていうのに、そんな状態で話せなんて酷なことを言われた。

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