【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 私を翻弄してしまう、欲と執着に満ちた唇。


「や、も、むりぃ……」

 止めどなく与えられる狂愛にも似た想いに、受け止めきれないと訴える。

 でも、永人は止めるどころか休憩も与えてくれない。

 体に力も入らなくなってきて、備え付けてあるテーブルの上に上半身を寝かせられた。

 押し倒されるみたいになって、恥ずかしいのに拒むことも出来ないほど永人のキスに溶かされる。


「あっふぅ……」

 言葉も紡げず、吐息ばかりがしばらく絡み合ってから、永人はやっと唇を離してくれる。

 でも、まだまだ終わりじゃなかった。


「さっき俺を追い出したこと、少しでも悪いと思ってんなら抵抗すんなよ?」

「ふぇ?」

 何をされるのかと溶かされた状態で聞き返すと、「ったく、可愛いな……」と呟かれる。

 その言葉にキュンとしているうちに、ブラウスの胸元が開かれていく。


「ん? え? 永人?」

 何をするの? と聞き返す前に、はだけた胸元に永人が顔を近付けた。

 そして、舌が這う。


「ふやぁ⁉」

 首を舐められた感触に情けない悲鳴が上がった。

 それを恥ずかしいと思う間もなくその場所を強く吸われる。

 チリッとした痛みには、覚えがあった。


 キスマーク、つけられてる?


「なが、と?」

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