【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 今はそれが一番心配だった。

 とはいえ、やっぱり今の自分は幸せだと思う。


 他の何を犠牲にしても共にいたいと思える相手がそばにいる。

 応援してくれる人達もいる。

 元婚約者候補の人達、田神先生を含めた彼らにも理解を得られた。


 それを思うと、愛しさと感謝が優しく溢れてくる。


 だから……。

「……うん、幸せですよ」

 自信を持ってその言葉をもう一度口にした。


「そう……良かった」

 すると、弓月先輩の表情から申し訳なさが消える。

 心から良かったというような微笑みだった。


「なら、私も応援するわ。色々と振り回してしまった分、あなたの幸せを守りたいと思う」

「弓月先輩……ありがとうございます」

 気にしなくていいのに、とも思った。

 でもどうしても気にしてしまって、私を応援することで……幸せを守ることで彼女が申し訳なさから解放されるならそれでいいのかもしれない。

 何より、応援してもらえるならやっぱり嬉しい。


 だから、ただお礼を言った。


 そうしてホンワカした雰囲気になると、弓月先輩が少しからかうような口調で話し出す。

「それにしても、幸せだからなのかしらね? 今日の聖良さんは一段と綺麗に見えるわ」

「えー? もう、からかわないでくださいよ」


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