【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 私も永人の背に腕を回し、抱き締める。

 思いは同じだと、伝える。


「……じゃあ、誓おうか」

 そして提案した。

「え?」

「生きるのも死ぬのも、私達は一緒」

 思いが同じなら、そんな誓いも成立する。

 だから……。


「一緒に生きて……そして死ぬときは一緒に死んで、永人」

 死すらも、私達を(わか)つことのないように。


「聖良……ああ、誓ってやるよ……。それは俺の望みでもあるからなぁ」

 互いにピッタリくっつくように抱き締め合う。

 そのまま深く一呼吸おいてから私は顔を上げた。



「でも、生きることを諦めることは絶対にないし、絶対に許さない。一緒に生き抜こう」

 力強く言い切ると、永人は驚いたように目を見開く。

 そしていつもの皮肉気なものとは違う、とても……とても嬉しそうな笑みを浮かべた。

 ふわりと、優しさと甘さが舞い降りたような笑顔。

 いつもより美しく妖艶な永人のその笑みは、瞬時に私を魅了する。


 ドクン、と大きく心臓が跳ねて、そのままドキドキが止まらない。


「……ああ、そうだな……。それでこそ俺の聖良だ……」

 愛しい、大切なもののように私の名前を口にする。

 鼓動が、駆け足どころかジェットコースターにでも乗ったみたいだ。


 早すぎる心音はもはやコントロール出来ない。

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