【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 お互いに笑顔になってほのぼのした雰囲気になったと思ったけれど、フッと愛良の表情が陰った。

「でも、それなら話しておいた方がいいかな……?」

「愛良?」

「あの人達……月原家の人が私に何をしようとしていたのか」

「それは……」


 確かに、聞いておけるなら聞いておきたい。

 でも、愛良は話したく無いんじゃないの?


「無理しなくていいんだよ?」

 優しい愛良があれだけ嫌悪を見せるくらいだ。

 相当嫌なことに違いない。


「無理ってほどでもないから……。お姉ちゃんが心配すると思って黙っていただけだよ」

 ゆるゆると首を振った愛良はそう言って私を真っ直ぐに見た。

「……」

 話すと言いながらもなかなか口を開かない愛良。

 でも視線はそらされなかったから、私はジッと言葉を待った。


「……なんて言えばいいか……。もうハッキリ言うね!」

 言葉を選ぼうとして悩んでいただけみたい。

 でも、良い話し方が見つからなかったんだろう。
 愛良は意を決した様に単刀直入に話した。


「月原家の人達は、薬を使って私の自由を奪おうとしてたの」

「え……?」

「もちろん子供を産ませようって思ってるから、副作用や影響がほとんどないものを使うとか言っていたけど……」

「な、によ……それ……」

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