【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

閑話 守るために


「年明けのパーティねぇ……」

 出席するとあのセンコーに伝えたときの聖良を思い出しながら、俺は自室に向かうエレベーターの中で考えていた。


 吸血鬼の各家の当主が出席するというパーティー。

 あの月原家の当主も参加するのだから何も起こらないわけがない。
 それが分かっていても、あいつは行くと決めてしまった。

 いいのか? と聞いた俺に。

『守ってくれるっていうみんなの言葉を信じたいと思ったんだ……それに、永人もそばにいてくれるでしょう?』

 なんて、信頼しきった笑顔で言われたら、反対することも出来やしねぇ。

 まあいいさ。
 今度こそ守りきると誓った。

 もう油断なんてしない。
 どんな手を使ってでも守りきる。


 聖良を狙う家はおそらく一つじゃあすまない。
 だが、やっぱり月原家は筆頭だろう。

 何度も“花嫁”を狙っている月原家は当然ながらマークされている。
 そのパーティーを逃したら次は無いと考えていてもおかしくはないだろう。


 ……ってことは、話に聞いた例の薬を使うかもしれねぇな。

 意識が朦朧として動けなくなる薬だと聞いた。

 副作用や依存性はないと言っていたが……でもだからこそ使い勝手が良いんだろう。
 “花嫁”に使うことを躊躇いもしなかった。


「……確か、ハーブ系を使ってると言っていたか?」

< 686 / 741 >

この作品をシェア

pagetop