【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
閑話 守るために
「年明けのパーティねぇ……」
出席するとあのセンコーに伝えたときの聖良を思い出しながら、俺は自室に向かうエレベーターの中で考えていた。
吸血鬼の各家の当主が出席するというパーティー。
あの月原家の当主も参加するのだから何も起こらないわけがない。
それが分かっていても、あいつは行くと決めてしまった。
いいのか? と聞いた俺に。
『守ってくれるっていうみんなの言葉を信じたいと思ったんだ……それに、永人もそばにいてくれるでしょう?』
なんて、信頼しきった笑顔で言われたら、反対することも出来やしねぇ。
まあいいさ。
今度こそ守りきると誓った。
もう油断なんてしない。
どんな手を使ってでも守りきる。
聖良を狙う家はおそらく一つじゃあすまない。
だが、やっぱり月原家は筆頭だろう。
何度も“花嫁”を狙っている月原家は当然ながらマークされている。
そのパーティーを逃したら次は無いと考えていてもおかしくはないだろう。
……ってことは、話に聞いた例の薬を使うかもしれねぇな。
意識が朦朧として動けなくなる薬だと聞いた。
副作用や依存性はないと言っていたが……でもだからこそ使い勝手が良いんだろう。
“花嫁”に使うことを躊躇いもしなかった。
「……確か、ハーブ系を使ってると言っていたか?」