【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「零士先輩から逃げて、家の前でもう一回会った時さ。……零士先輩、離れてた場所から突然目の前に現れなかった?」
「っ……!」
その事も思い出し、言葉を詰まらせる。
ありえないと思った。
突然目の前に来るなんてありえない、理解出来るわけない。
だから無意識に忘れようとしていた。
あれは何かの見間違いだったんだと思う事にして。
このまま、何もなければ本当に忘れていたと思う。
でも今愛良に言われて思い出し、それも叶わなくなる。
あのときの不可思議さを、あやふやなまま終わらせて忘れる事はもう出来ない。
一瞬すっとぼけようかと思ったけれど、愛良の真剣な目がそれを許してくれそうになかった。
私は諦めて、グラスに視線を落としながら答えた。
「……うん、そうだったね……」
カラン、と氷の音が嫌に大きく聞こえる。
私の返事を最後に沈黙が続く。
零士達が人間じゃないかもしれない。
そんなあり得ないはずの事が、何故か現実味を帯びていた。
あり得ない。
でもそれだと零士の人間離れした動きを説明出来ない。
そんな考えがグルグル繰り返し頭の中を巡る。
どれくらいの沈黙だったか。
しばらくして、最後に愛良がポツリと呟いた。
「もしかして、零士先輩が言った通り吸血鬼だったりして……」
私はその言葉に何も返せなかった。
「っ……!」
その事も思い出し、言葉を詰まらせる。
ありえないと思った。
突然目の前に来るなんてありえない、理解出来るわけない。
だから無意識に忘れようとしていた。
あれは何かの見間違いだったんだと思う事にして。
このまま、何もなければ本当に忘れていたと思う。
でも今愛良に言われて思い出し、それも叶わなくなる。
あのときの不可思議さを、あやふやなまま終わらせて忘れる事はもう出来ない。
一瞬すっとぼけようかと思ったけれど、愛良の真剣な目がそれを許してくれそうになかった。
私は諦めて、グラスに視線を落としながら答えた。
「……うん、そうだったね……」
カラン、と氷の音が嫌に大きく聞こえる。
私の返事を最後に沈黙が続く。
零士達が人間じゃないかもしれない。
そんなあり得ないはずの事が、何故か現実味を帯びていた。
あり得ない。
でもそれだと零士の人間離れした動きを説明出来ない。
そんな考えがグルグル繰り返し頭の中を巡る。
どれくらいの沈黙だったか。
しばらくして、最後に愛良がポツリと呟いた。
「もしかして、零士先輩が言った通り吸血鬼だったりして……」
私はその言葉に何も返せなかった。