【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 こうなると本当に自分の悩みが馬鹿らしく思える。


「あーもういいよ。そんな事より愛良も早く食べな。迎えが来ちゃうよ」

 説明するのすら恥ずかしくなってきたので、私はそう言って誤魔化した。


 そうして朝食を食べ終え歯を磨いていると、丁度チャイムが鳴った。

「愛良先に出てて!」

 歯を磨き終え、朝食の片付けを手伝っていた愛良に声を掛けると私も早々に歯磨きを終わらせる。


 すぐに玄関に向かったのに、玄関先にいた零士は。

「遅ぇ」

 と不機嫌極まりない表情で呟いた。

 ムカッ

 となったのは当然だろう。

 寧ろ大して待たせて無いのに顔を合わせてすぐこんな風に不機嫌に言われても、笑顔でごめんと言えたらその人は聖人並みの心を持っていると思う。


 ちなみに聖人でも何でもない私は「うるさい」とひと睨みして後は無視した。


「おはよう俊君、お待たせ」

 こっちには笑顔で対応する。
 一緒に学校に行くと目立って嫌だけれど、一応守ってくれるためについて来ているのだし、俊君自体はそこまで嫌いではない。


 ……まあ、苦手な部類ではあるけれど。


「あ、おはっ、おはよう聖良先輩」

 何故か笑いを堪える様に挨拶を返された。
 何が可笑しいんだろうか?


 訝しむと、吹き出して笑われた。
 何故?


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