【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 あのとき告げられた言葉の通りであることは、今の私が一番よく理解していた。


 だからこそ、今やっておかなきゃならないことがある。

 もう、私を利用しようとする者を無くすために。

 私と永人を引き離そうとする愚か者に、それがどんなに罪深いことなのかを知らしめるために。


 今、多くの吸血鬼達がパーティー会場に集まっているのが気配で分かる。

 会場の外を警備していた人達や、裏で色々動いていたらしい月原家の者や協力者達。

 彼らも集まっている様だったから、もしかしたらあちらはまだ戦闘を続けているのかも知れない。


 会場が闘いの場になっているかもしれない状態に、愛良は大丈夫なのかと心配になる。

 まあ、零士が何が何でも守るだろうけれど。

 むしろ守れなければぶん殴ってやるところだ。


 そんなことを考えながら会場へとたどり着く。

 中からは戦闘の音が聞こえてくるけれど、薬で倒れていた人達は避難できているんだろうか?

 いや、会場にばらまかれた薬はそこまで強くはなかったから、もしかしたらこの戦闘に参加しているのかも知れない。

 何にせよ、愛良が巻き込まれていなければ良い。


 ドアの前で一度足を止めると、私が何か指示するまでもなく伊織のお付きの二人がドアに手を掛ける。

 そして、両開きのドアが開かれた。



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