【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 永人のように血流を操って薬の成分だけを吐き出させることは出来なくはない。

 でも、あれは永人が吸血鬼だから出来た事。

 人間の愛良にそんなことをすれば不整脈を起こしかねない。


「永人。さっき持っていた中和剤ってまだあるの? 愛良に使っても大丈夫?」

 完全な中和剤じゃないと言っていたけれど、少しでも愛良が楽になればいいと思って聞いた。
 でも永人は眉を寄せ「止めておいた方がいい」と口にする。

「あの中和剤は不完全だし、どっちかっていうと気つけ薬に近いからな。俺達が飲むことしか想定してねぇからちょっと無茶な配合したし……」

 だから人間である妹には飲ませない方がいいと言われた。

「そっか……」


 結局は自然と薬が抜けるのを待つ方がいいってことか……。

「大丈夫だよお姉ちゃん。意識はもうハッキリしてるし、一晩眠っているうちに体も自由に動かせるようになるだろうって言われたから」

「……うん」

 愛良の言う通りなのは分かっているけれど、それでも心配なものは心配だ。


「本当に大丈夫だよ。……零士先輩がついていてくれるから」

 でも、幸せそうな笑みでそんなことを口にされたら居座るわけにもいかない。


 というか、もしかしてお邪魔しちゃったのかな?


 なんて思ってしまう。

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