【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「す、すみません。いや、聞いてたけど、本当に二人って仲悪いんだなぁと思って……」

 そうしてまた軽く笑われる。

 笑われる理由は分かっても、その理由が納得いかなくてムスッとしてしまう。

 私の隣では愛良が諦めの様なため息をついていた。

 私と零士の仲を少しでも良くしようとでも思っていたのだろうか?
 そして無理そうだと思って諦めた、と。

 諦めて正解。
 零士と仲良くなるなんてありえ無い。
 寧ろ考えただけで鳥肌が立つので止めてください。

 ホント、マジで。


 しばらく笑っている俊君を零士も不機嫌そうに睨んでいる。

 今このときばかりは私と零士は同じ気持ちでいる様だけれど、それすらも何だか嫌だ。


 そんな気分を吹き飛ばす様に、私は少し大きな声で言った。

「なんでも良いから、早く学校行こう!」


 愛良は「そうだね」と頷き。

 俊君はまだ少し笑いながらのん気に「はーい」と答え。

 零士は無言な上に反対もしない。


 そうして私達はやっと最後の登校を始めた。

***

「おはよー」
「それでさー、昨日……」


 そんな声が飛び交う校舎内。

 一日経って少しは慣れたのか、今日は昨日ほど私達の周りに人が集まって来ない。

 いても二、三人で、それすらもずっと付いてくるわけじゃなかった。


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