【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
強く私を求めてくれるその想いから、逃れる術なんて私にはない。
だって、その想いこそ私が欲しいものだから。
「お前を奪って良いって、言ったよな?」
小一時間前に言ったばかりの言葉。
「……うん、言ったよ」
「だったら俺は、遠慮なんかしねぇからな?」
遠慮しないと言いながらも、手を出す前にこうして確認してくれている。
そんな分かりづらい優しさも、私の好きな永人の一面。
「……うん。全霊を掛けて、奪ってくれるんだよね?」
顎を掴む永人の手にそっと触れた。
こうして想いを交わし触れ合うだけで、他のことが何も考えられなくなる。
頭の中も心の中も、もう永人でいっぱいになっていた。
「ああ、奪いつくしてやるよ。お前のすべてが、俺でいっぱいになるくらいにな」
妖艶さをも含んだ笑みが浮かべられる。
もう永人でいっぱいになってるよ。
その言葉は、すぐに唇を塞がれたせいで音にならなかった。
でも、きっと伝わっている。
だって、その後の行為で私達は溶け合ってしまうから。
何度も触れる唇に、柔肌を撫でる彼の手に。
与えられた熱で溶けて混ざり合うから。
だからきっと、私の想いも伝わっている。
「永人……」
「ああ……聖良」
名前を呼び合うだけでも、満たされる。
好きで、大好きで、愛しい相手。
私達を邪魔する者は、もういない。
新月の夜は、月でさえ私達を邪魔することはないのだから――。
『妹が吸血鬼の花嫁になりました。』【完】
だって、その想いこそ私が欲しいものだから。
「お前を奪って良いって、言ったよな?」
小一時間前に言ったばかりの言葉。
「……うん、言ったよ」
「だったら俺は、遠慮なんかしねぇからな?」
遠慮しないと言いながらも、手を出す前にこうして確認してくれている。
そんな分かりづらい優しさも、私の好きな永人の一面。
「……うん。全霊を掛けて、奪ってくれるんだよね?」
顎を掴む永人の手にそっと触れた。
こうして想いを交わし触れ合うだけで、他のことが何も考えられなくなる。
頭の中も心の中も、もう永人でいっぱいになっていた。
「ああ、奪いつくしてやるよ。お前のすべてが、俺でいっぱいになるくらいにな」
妖艶さをも含んだ笑みが浮かべられる。
もう永人でいっぱいになってるよ。
その言葉は、すぐに唇を塞がれたせいで音にならなかった。
でも、きっと伝わっている。
だって、その後の行為で私達は溶け合ってしまうから。
何度も触れる唇に、柔肌を撫でる彼の手に。
与えられた熱で溶けて混ざり合うから。
だからきっと、私の想いも伝わっている。
「永人……」
「ああ……聖良」
名前を呼び合うだけでも、満たされる。
好きで、大好きで、愛しい相手。
私達を邪魔する者は、もういない。
新月の夜は、月でさえ私達を邪魔することはないのだから――。
『妹が吸血鬼の花嫁になりました。』【完】