【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 そう判断した私は勢いよく俊君を引っぺがして大声で否定した。


「無い無い! そんな事絶対無い! 付き合ってなんか無いから!」

 注目を浴びるのなんか気にせず、二年の教室全てに聞こえるんじゃ無いかというくらいの声量で叫んだ。


 私の大声に驚いたのか、ざわざわとしていた周囲が一瞬シン、と静まる。

 次いで聞こえてきたのはこんな声。


「あ、そうなんだー」
「ほら、やっぱり違ってたじゃない」
「でも彼の方はまんざらでも無いんじゃない?」


 そんな周囲の言葉に、忍野君が言った事と同じ様な話をさっきからヒソヒソ話していたんだな、と理解した。


 ちょっと待って。
 この噂、どこまで広がってるの?
 って言うか、それ以前に何でこんな噂が広まってるの⁉


「あ、そうなんだ。まあそうだよな。流石に昨日の今日で付き合ってるは早ぇか」

 と、忍野君はあははと笑う。

 とりあえず、この辺りにいる人の誤解はとけたみたいで良かった。

 一先ず安心したけれど、安心したままではいられない。

 この噂の出処を確かめないと。
 早急に!


「それにしても、そんな根も葉もない噂流してるの誰よ?」

 噂を流した人物に芽生えた怒りから声がワントーン低くなる。
 それを感じ取った忍野君は少し身を引いた。

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