【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 ちょっと、マジで怖い。


 有香の迫力に気圧され少し距離を取っているものの、他のクラスメイトも気になっているのかジッとこっちを見ている。


「まずハッキリ言うけど、付き合ってないから!」

 さっきみたいに俊君が余計な行動をする前にそれだけは告げておく。
 でないと変に誤解されてしまいそうだ。

「じゃあ、何でこんな噂が流れてるのよ?」

 ハッキリ否定したことで少し落ち着いたらしい有香がジトリとした目で見つめる。
 その目が「ちゃんと説明してくれるよね?」と語っていた。


 それから担任が来るまでみんなの質問に答える羽目になった。


 聞いてみるとキスしてたのを見たとかありもしない噂まであって、本当にもうどうしてくれようかと頭を抱えてしまったり……。

 とにかく、今日一日こんな様子なのかと思うとため息が絶えなかった。

***

「香月さん!」


 四時限目も終わり、さあ昼休みだと教室内がざわめきみんなが昼食の準備をしはじめたとき。

 一人の女子生徒が勢い良く教室に飛び込んできた。


 名前を呼ばれた私は目を瞬かせ彼女の名前を呼んだ。

「原田さん? え? どうしたの?」

 頭の痛い噂を流されて少なからず恨みを募らせていた相手だけれど、突然の登場にただただ驚く。


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