【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 少なくとも、悪い事をしたとは微塵(みじん)も感じてないだろうというのは分かった。

 これは非難してもムダっぽいなぁ……。


 内心ため息をつきながら、私は改めて原田さんを見た。

 許して貰えて安心しつつも、まだ少し申し訳無さそうな顔をしている。

 そんな原田さんに、私は噂は間違ってたって事をみんなに言っておいてね、と言ってこの場を終わりにしようとした。


 なのに、それは隣の俊君に邪魔されてしまう。


「確かに付き合ってはいませんけれど、聖良先輩に決まった相手がいるのは確かだし、俺が聖良先輩狙ってるのも本当ですよ?」

 と、とんだ爆弾発言をかましやがったこのチャラ男!


「なっ――」
『ええーーーーー⁉』

 何を言っているのかと問う前に、その場にいた全ての人が驚きの声を上げた。

「ちょっと待って、俊君。何言って――」

「それどういう事⁉ 決まった相手がいるって誰⁉」
「あなたも狙ってるってことは、あなたの片想いって事⁉」
「ちょっと聖良、ちゃんと説明しなさいよー!」

 改めて問い質そうとしても、周囲の怒涛のような質問に押されてしまう。

 しかも私に説明を求めて来る有香の目がまた血走っている。


 だから怖いって!!

 大体説明して欲しいのは私もだっていうのに!


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