【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
余裕のない表情と、低い声。
その様子に周りも異変を感じ取ったのか少しずつ静かになっていく。
「え? 何? 何かあったの?」
そんな声がヒソヒソと聞こえるだけになってから、俊君は電話を切って私に笑顔を向けた。
「スイマセン聖良先輩。今日はこのまま早退して帰りましょう」
理由も言わず、ただ一言謝ってから用件を口にする。
そんな彼に私は少し戸惑った。
まずは何があったのか知りたい。
早退するなんて話もそれが関係あるなら尚更。
そうして返事を渋っていると、有香が口を挟んできた。
「ちょっと待って、いきなり早退ってどういうこと? 聖良、今日でこの学校最後なのに。……それに、放課後のお別れ会だって……」
消え入るように言っていたけれど、最後の部分が一番の本音なんだと思う。
でも実際今早退したらお別れ会がどうなるのか分からない。
楽しみにしていたのは私だって同じだ。
でも愛良のことも心配で、全面的に有香の言葉に乗っかる訳にもいかなかった。
そんな私から視線を外して、俊君は有香の方に向き直る。
「すみません、お別れ会は中止にしてください。それどころじゃなくなったんです」
そう言った俊君は、笑顔でいるものの少し焦っているかの様だった。口調がいつもより早い。
その様子に周りも異変を感じ取ったのか少しずつ静かになっていく。
「え? 何? 何かあったの?」
そんな声がヒソヒソと聞こえるだけになってから、俊君は電話を切って私に笑顔を向けた。
「スイマセン聖良先輩。今日はこのまま早退して帰りましょう」
理由も言わず、ただ一言謝ってから用件を口にする。
そんな彼に私は少し戸惑った。
まずは何があったのか知りたい。
早退するなんて話もそれが関係あるなら尚更。
そうして返事を渋っていると、有香が口を挟んできた。
「ちょっと待って、いきなり早退ってどういうこと? 聖良、今日でこの学校最後なのに。……それに、放課後のお別れ会だって……」
消え入るように言っていたけれど、最後の部分が一番の本音なんだと思う。
でも実際今早退したらお別れ会がどうなるのか分からない。
楽しみにしていたのは私だって同じだ。
でも愛良のことも心配で、全面的に有香の言葉に乗っかる訳にもいかなかった。
そんな私から視線を外して、俊君は有香の方に向き直る。
「すみません、お別れ会は中止にしてください。それどころじゃなくなったんです」
そう言った俊君は、笑顔でいるものの少し焦っているかの様だった。口調がいつもより早い。