【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 電話をかけてきたのは、丁度学校を出た時だったらしい。

「校内に侵入した不審者からは逃げ出せたみたいだけど、外に仲間がいる可能性もあるから今手の空いてるやつはみんな愛良ちゃんの守りに向かってます」

 石井君や浪岡君。あとは田神先生までも愛良を守るために向かっているそうだ。


「俺も聖良先輩を家まで送ったら合流するつもりです」
「それって……」

 もしかしなくても、かなり危ないってことなんじゃないだろうか?

 田神先生まで出てきてるってことは、外に仲間がいるってほぼ確定してる様なものなんじゃないの?
 だって、いるかどうかも分からないのに先生まで来る事ってないよね?……多分だけど。

 それなら確かに私に説明している時間も惜しいと思っても仕方がない。


 足を止めてまで説明を要求したことをちょっとだけ反省した。


 でも、こうやって歩きながら話せるんだからやっぱり初めから話してくれれば良かったと思うんだよね。

 とも思ったけど……。

 一通り話を聞いて、私は深く息を吸って吐いた。

 異常事態にドクドクと鳴る心臓を落ち着かせる。


 慌てるなと前置きされた手前もあるし、取りあえず冷静にならないと。


 そうは思っても、愛良の危機だというのに完全に冷静にはなれない。
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