元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
第十六話
「――って、なんかごめんね。最近こんなのばっかりで。私めんどくさいね」
言ってのそりベッドから起き上がる。
この間からアンナの優しさに寄り掛かりっぱなしだ。
でも彼女は嫌な顔をせず首を振った。
「いいのよ。むしろ、私は最近レティとこういう話が出来るようになってすごく嬉しいの」
「え?」
「ほら、レティってついこの間まで恋愛に疎いっていうか、ゴシップなんかにも全然興味ない感じだったでしょう?」
その通りなので私は頷く。
「ずっとレティとこういうコイバナしてみたかったの! だから悩みがあったらどんどん話して?」
「アンナ……」
心がほっこりと温かくなった。
アンナは同じ年だけれど、私にとってはやっぱり頼りになる姉のような存在だ。
「それで、ユリウス先生とのことだけど」
「うん」
「私ね、先生は本当は前世の記憶があるんじゃないかって思ってるの」
「え!?」
驚いて声を上げるとアンナは慌てたように手を振った。
「ただのカンね! 何か根拠があるわけじゃないの。でも、そう思えてならなくて」