元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
言われてもうそんな時間なのだと気が付いた。
そうして私たちは簡単に身なりを整えて寮の食堂へと向かったのだった。
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「そういえば、ここのところ私の話ばっかりだけど、アンナは? 誰か好きな人いないの?」
夕食を終え、廊下を歩きながら私は小声で訊く。
「私? 何言ってるのレティ。私はずっとアルベルト様一筋よ!」
「そ、そっか。そうよね」
アルベルト様とは今人気の歌劇俳優で、アンナは以前からずっと彼に夢中なのだ。
年齢は確かユリウス先生よりもずっと上だったと思う。
私がユリウス先生を好きだと知ってもアンナはイザベラのようには驚かなかった。きっと彼女にとって恋に年齢は関係ないのだろう。
「そうそう、聞いてくれる? アルベルト様の新情報!」
そして彼女はアルベルト様の話をはじめるといつも止まらなくなる。
私は久しぶりにその話をうんうんと聞きながら自室の前まで来て、異変に気が付いた。
「あれ?」