元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「なら、あと一日だけ待ってください!」
「……」

 こちらを鋭い目で見下ろしてきた先生を私は負けじと見つめ返す。

「これは女同士の問題です。この後アンナと話してすぐにでも解決してみせるので、お願いします!」

 そして私は深く頭を下げる。
 しばらくその体勢のままでいると、はぁと大きな溜め息が降ってきた。

「貴女は甘すぎるんですよ」
「え?」

 顔を上げると、先生が眉間にたくさんの皴を寄せながらも扉から手を離していた。

「分かりました。あと一日だけ待ちます。それでも解決しなかった場合は……いいですね」
「は、はい! ありがとうございます!」

 私はもう一度勢いよく頭を下げた。
 それからつい、ふふっと笑みが零れてしまった。
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